この恋がきみをなぞるまで。






11月も終わるころ、以前話していたフラワーフェスタに来ていた。

秋の花にはもう遅いし、この時期の花が何なのか気になったけれど、折角だから前情報は何も入れていない。


スピーカーから流れる軽快な音楽とともに、経路を回る。

サザンカや椿、ポインセチア、他にも色とりどりの花々が咲いていて、移動するたびに写真に残す。


温室と続いていた展示室には桐生くんの知り合いだという人のフラワーアレンジメントがあって、撮影許可のある場所は一通り写真に収めた。

キッチンカーで買ったホットスナックを水辺のベンチに座って食べていると、どこかへ行っていた桐生くんが温かい飲み物を持って戻ってきた。


「柚木はどれがいい?」

「ホットレモン」

「はい。福澄さんは?」


お茶とカフェオレを差し出す桐生くんに、ぶんぶんと首を振る。


「桐生くんが先に選んで」

「いやいや、福澄さんの好きな方どうぞ」

「じゃあ、お茶をもらおうかな」


キッチンカーでの買い物で端額のやり取りがあったから、お金もいいと言って桐生くんは受け取ってくれない。

柚木はお礼だけ言って黙々とから揚げを食べていた。

先に食べ終えて、あたたかいお茶を飲んでから、先程撮った写真を見返す。


「あ、それあとで私に送って」

「これ?」

「あとそれも。これも」


あれもこれもそれもと指を指されて、どれを言っていたのかわからなくなる。


「全部送っておくね」

「じゃあ、私も送っとく」

「桐生くんは?⠀全然写真撮ってなかったけど」


今食べ始めたばかりなのに、あっという間に最後のホットドッグを口に放った桐生くんが涼花越しにわたしを見る。

知り合いの展示ですら、ちらっと見るだけで携帯を取り出す素振りも見せなかった。


「俺はいいよ。写真とか、あんまり見返さないし」


桐生くんは、普段と変わりないと言えばそうだけれど、何となくいつもと雰囲気が違う気がした。

装いが冬仕様になっているからとか、最近は学校で顔を合わせることしかなかったとか、髪を少し切っているからとか、色々あるけれど、そうではなく。

どことなく、緊張しているような感じ。