ずっと、いつも、自分のことが嫌いだった。


心の内で泣いたって、叫んだって、だれにも届かない。

自分を守るために、わたしだけは自分を嫌ってはいけないとわかっていたのに、庇うことも守ることもできずに弱い部分を剥き出しにして過ごしてきた。

いたい、と。苦しいと。口にしたら、壊れてしまいそうで。痛んでも悲しくても、そうやって生きていた。


千里の言葉の棘は、先端が丸いことは一度もなかった。

千里のくちびるが開くたび、目がわたしをとらえるたび、胸が騒めく。

それでも千里の前から逃げ出そうとしなかったのは、彼に向けられた棘にこもるものが、悪意だけではないと知っていたから。


千里の放つ言葉は、きっと彼自身も傷つけていた。

切っ先だけではなく、持ち手にも無数の棘があって、握るたびに、刺さるたびに、お互いを傷つけ合っていた。


千里をいちばん大切にしたかった。

千里にとってのわたしもそうでありたかった。


初恋。希望。救い。唯一無二の存在。

それらは、過ぎた過去に返すべきものだから。


願わくは、この文字が、

【この恋がきみをなぞるまで。】