「チッ......!」


蒼くんの迫力に圧倒されたのか、先輩たちは舌打ちだけを残し去っていった。


ふたりだけになった空間に、少しの間沈黙が流れる。


「優奈」


先に静寂を破ったのは、蒼くんだった。


「ごめん。すぐに助けてあげられんくて」


「ううん。来てくれて嬉しかった。ありがとう」


蒼くんの声がしたとき、すごくほっとしたんだよ。


そんな感謝の気持ちをこめて笑ったら、蒼くんが顔をゆがめた。


「優奈...泣いてるのに笑わんでええねん」


え...?私、泣いてる...?


驚いて頬に手を当てると、僅かに濡れていた。