「ね、抱きしめても、いい?」

急にそんなことを言われて、ドキッとしてしまう。

「いい、よ。」

ぎゅっと抱きしめられる。

とろけてしまいそうな甘い香りがした。

今、私は一番の幸せ者だ。

そう感じずにはいられなかった。

しばらくして、体の温もりが私のもとから離れる。

少し寂しさを感じながらも、健人くんと目を合わせる。

「ねぇ、なんでチョコ渡すときに友チョコって言ったの?」

ギクッとする。

「あのね…。
さっき女の子からチョコ貰ったときには嬉しそうだったのに、私があげたときはあんまり嬉しそうじゃなかったら…
迷惑なのかなって思って…。」

「あれは…、まさか愛夢から貰えると思ってびっくりしちゃって。
すごい嬉しかったよ。」