言うことを聞かない子供みたいで、ため息が出そうになる。

陽葵、酔ったら子供っぽくなるのか。


そこも可愛いけど。



「上手に飲んだらキスしてあげる」

「ほんと!?」

やっぱり陽葵は陽葵。

一瞬にして嬉しそうな顔に変わる。


「ほんと」

そう言って、陽葵にコップを渡した。


その一瞬。目を離したのがいけなかったんだ。

コップが落ちる音がして、気付いたときには手遅れ。

陽葵はびしょ濡れになっていた。


「陽葵!?」

「……?」

本人は全くわかってない様子で。

……参った。思わず頭を押さえた。


とりあえず、替えの服。

寝室に取りに行こうとしたときだった。


ツン、と服を引かれ、振り返ると寂しそうな顔をする陽葵の姿が。


「どこいくの……?」