私は思いっきり首を振った。


「嫌じゃない!ゆうくんの車見たい!」

「ははっ、陽葵は元気だな」


だって車って言ったら大人の人が持ってる物で、運転してる姿とか想像したら……。


きゃーー!!

それだけでかっこいい。




「これだよ」

ゆうくんの実家に停められたスマートな黒い車。

車の事は詳しくないけど、家の大きい車より断然かっこいい。


わぁ……!

大人だ!大人だっ……!



「どうぞ」

助手席のドアを開けてくれたゆうくんに「お邪魔します」って言って座った。


車に乗った瞬間、鼻をかすめた爽やかな香り。

運転席と助手席の間にタンブラーみたいな小さい空気清掃機が置いてあって、車内にはそれ以外何も無い。

ゆうくんらしいとてもシンプルな車だ。


運転席のドアが開くと、ゆうくんが車の中に入ってきて、一気に距離が近くなる。