「……っ」

陽葵を見つけた途端、いろんな感情が込み上げて来て。

俺に気付いて逃げようとする陽葵の腕を掴み、持っていた傘を投げ捨て、抱き寄せた。



びしょ濡れの陽葵に胸が痛む。



「……どこまで来てんの。ほんと、全然見つからなかったから焦る」

「や、やだ、離して……っ……!」


離れようと俺の体を押す陽葵を力強く抱きしめた。



「陽葵の為と思って離れたのに……勘弁してよ。これ以上、俺を陽葵でいっぱいにさせないで」

「……え……?」

「今まで自分の気持ちに嘘をついて、本音を隠してきた……。光瑠くんじゃなくてもいいの?彼なら陽葵を幸せにしてくれるよ?」


まだそんな事を言う俺を許してくれ。

不安なんだ。確認しないと。


「妹のままは……やだ……ゆうくんがいい」

小さい身体がギュッと俺を抱きしめた。