「……もう……いい。ゆうくんのバカ……嫌いっ!」


そう言って私は家を飛び出した。

行く当ても無いのに。


だって、その場から逃げたかったんだもん。


居たくなかった。


ゆうくんの顔なんて見たくない。



嫌い。


嫌い。


嫌い。




悲しくて無我夢中で走り続ける。


次第に降り出した雨に私は立ち止まった。


それでもゆうくん家に戻れない。

……戻りたくない……。


「ゆうくんのバカ……」


ずっと前から大好きだったのに……。


本当はドキドキしてたの……昔から。


幼かった頃はそれが恋なんてわからなかったけど、今なら言える。


優しくされる度に、ドキドキして。


……恋……してたんだ、ゆうくんに。



クシャッと笑った顔。

私を呼ぶ声。

おっきくて優しい手。


全部全部、大好き。