その甘さ、毒牙につき


だって瑞樹くん、彼女いるのに…。



これだってきっと、瑞樹くんなりの優しさなんでしょ…?



何処まで残酷なんだろう…そう思っていたら。



「嘘じゃないよ。それに、なんか誤解してるみたいだけど…僕、彼女なんていないよ」



「へ………?」



その言葉に、ピタリと涙が止まった。



さっきまであんなに流れていたのが嘘のよう。



涙が引っ込んだのち、口がぽかんと開く。



「…言ってなかったっけ?」



はて…と考える瑞樹くん。



「ももと出会って一週間経ったくらい…?に別れて、それっきり」