その甘さ、毒牙につき


やめてほしい、のに……。



今すぐ離れたくても、体が言うことを聞いてくれない。



瑞樹くんの優しさが、甘さが…体に毒が回ったみたいに蝕んでいく。



それでも瑞樹くんは離してくれず、腕に力を込めてくる。



やめてよ…そんなこと、されたら…。



「もっと、好きになっちゃうからぁっ…」



私の悲痛な叫びが、部屋に虚しく響いた。



「っ…ねぇ、もも」



「っ…な、に?」



「その涙は……僕を想ってるって受け取っていいの?」



少し震えた声と肩。



「期待、しちゃうんだけど」