その甘さ、毒牙につき


これは瑞樹くんのせいじゃない。



どんなことも覚悟した上で瑞樹くんを好きでいる、私のせい。



もっともっと心が強かったら、こんなことになってないから。



「わ、たし…っ、瑞樹くんが好きなのっ…」



だから……こうやって、隠してた想いがいとも簡単に溢れてしまう。



「……え?」



胸がいっぱいいっぱいで、うまく喋れない。



そんな私を、瑞樹くんは優しく抱きしめた。



「っやめて…優しく、しないで…っ…」



私を好きでもないくせに、勘違いさせるようなことしないでほしい。