その甘さ、毒牙につき


「…ふっ、そんなに緊張する?」



それを見透かしたように笑う瑞樹くんは、ドアノブに手をかけて開けた。



「安心してよ。ももに手を出したりなんかしないから」



「っ…」



瑞樹くんは私を安心させようと思って言ったんだろうけど…。



それは、とんだ思い違いだよ。



手を出さない=女の子として見られていない…ってことでしょ…?



そんなの、告白する前に振られたみたいなものじゃん…。



瑞樹くんにとっては些細な一言かもしれない。



でも、私にとっては瑞樹くんの言葉一つ一つが特別なの。