その甘さ、毒牙につき


必要最低限の家具しかなくて、装飾品はおろか、ゴミ箱さえない。



一体どこに捨てているのかな…。



「親は2人とも海外にいるんだよね。だから、変な気遣いしなくてもへーきだよ」




「そ、そうなんだ…」



…でも、この大きなところに1人で住んでる…ってことだよね。



それって、かなり寂しいんじゃないの…?



私だったら耐えられないその状況を、瑞樹くんは何年間続けてるんだろう。



「…リビングがいい?」



ぼーっとそんなことを考えていたら、目の前に瑞樹くんの顔があった。



「っ、ど、どこでもいいけど…」