その甘さ、毒牙につき


タワーマンションの最上階から見る景色。



それは、普段なかなかお目にかかれない絶景とも言えるだろう。



高所恐怖症の人なら、卒倒してしまうかも。



それくらい高くて綺麗で…花火大会の日には、特等席になるのだと思う。



少し部屋を見回して、あることを確信した。



「…瑞樹くん、もしかして………」



「うん、ここに一人暮らししてる」



私が言うより先に、平然と答えた。



…やっぱり。



家族で住むには、生活感の無さすぎる部屋だったから…勝手にそうなんじゃないかと思った。