その甘さ、毒牙につき

そうして西条くんは去っていき、やっと平穏が戻……



｢ねぇもも？今の、なに？｣



ってなかった。



まだまだ瑞樹くんは不機嫌真っ最中。



表情こそ変わらないものの、声のトーンと繋ぐての強さが物語っている。



…そういえば、西条くんと話してるときずっとこのままだったんだ。



今更そんなことを思って、ちょっと恥ずかしくなってくる。



そしたら、瑞樹くんは何を誤解したのか更に握る手に力を込めた。



｢…今ももが照れてるのは、どうして？｣



｢へっ…｣



それは瑞樹くんのことだよ、って言おうとしたけど。