その甘さ、毒牙につき


「西条くん……」



ため息も一緒に出かかって、慌てて飲み込む。



「急に来てごめんね。どうしても会いたくて、来ちゃった」



来ちゃった、って……。



そんな屈託の無い笑顔で言われても困るよ…!



隣で黙ったまま西条くんを睨みつける瑞樹くんと。



瑞樹くんが視界に入っていない…わけがないのに、瑞樹くんをいないものだと思って話す西条くん。



どこからどう見ても地獄絵でしかない。



もう私は半泣き状態で、必死にこの場面をどう切り抜けるかを考える。



「え、えっと…瑞樹くん。こちらは西条桃李くん。芽奈の友達なの」