その甘さ、毒牙につき


仮にも瑞樹くんには彼女がいるのに、私なんかと手を繋いでいると知られてしまった時にはどうなるか目に見えている。



私の社会地位が危なくなるのはもちろん、何をされるかわかったものじゃない。



今まで瑞樹くんに手を出してきた子たち全員が、しばらくの間休んでいたという噂だって出回っているのだ。



「私、まだ殺されたくないっ…!」



「何に怯えてるの。ほら、帰ろ」



誰のせいで怖がってると思ってるんだろうか。



私の嘆きは届かず、そのまま昇降口まで引っ張られて行った。



そしてやっぱり繋がれた左手。


生徒たちの視線が突き刺さって、早くこの場から立ち去りたい気分になってくる。