その甘さ、毒牙につき


***


「…み、瑞樹くん。これは……」



「虫除けだから気にしないで」



繋がれた手を凝視するも、いたって平然と答える瑞樹くん。



あれから時間はあっという間に過ぎていき、現在時刻は15時30分。



部活動をしていない生徒たちの下校時間で、そそくさ帰る人や教室で話し込む人たちもいる。



そんな中、私たちは廊下にいた。



しかも、瑞樹くんと手を繋いだ状態で。



「ねぇ、本当にダメだと思うんだけど…」



「だから、平気って言ってるでしょ?」



何が「だから」なの?!