その甘さ、毒牙につき


たしかに当初の目的は、瑞樹くんに可愛いって思ってもらうことで。



自分に自信をつけたいと思ったからメイクをしたし、瑞樹くんに朝イチで見せた。



他の人に見られちゃったのは計算外でも、そこまで大した問題ではないはず。



なのに、瑞樹くんが怒ることないじゃん。



そんなの……。



「…瑞樹くん、嫉妬してるみたい」



思わずこぼれた本音。



それは案外よく聞こえて、瑞樹くんの耳にも入った。



勘違いだったらどうしよう…なんて思った時。



「…そーだよ。僕より先に見た名前も知らない男に、嫉妬してんの」



「………え?」