その甘さ、毒牙につき


「えぇ〜?ほんとかなぁ〜?」



否定しているのに、信じられないとでも言うように口元のにやけが収まっていない。



「もう、ないものはないの。ほら、もうすぐホームルーム始まるよ?」



「ハイハイ。じゃー放課後たっぷり聞かせてもらうから、そのつもりで」



ないって言ってるのに…。



芽奈が私の前の席に着いてすぐに担任の先生が入ってきて、ホームルームが始まる。



瑞樹くんの姿は、いつも通りどこにもなかった。