その甘さ、毒牙につき


「…もーも、こっち見てよ」



私の顔を覗こうとする瑞樹くんに、必死で顔を背ける。



「…やだ」



「無視されたら、僕だって無視するけど。いーの?」



「っ…瑞樹くんのイジワル」



「もも限定ね」



…やっぱり、瑞樹くんには勝てない。



「…ん、いーこ。ほんとに可愛い。このまま腕の中に閉じ込めて、出られなくしたいくらい」



お砂糖より、ホイップクリームより甘い瑞樹くんに、現実味がわかない。



まだ夢か現実かわからなくなる。



「…ね、もも」



少し甘えたような声は、母性をくすぐられるもので。