「おはよ、もも」



ふわっと香る甘いムスク。



それに釣られて顔を上げれば、バチッと目が合ってしまう。



「…なに、挨拶もないの?」



「お、おはよう…瑞樹くん」



瑞樹千冬くんは、危険人物なんです。



だから、ずっと見つめていたらほんとに危ない。



縛られて動けなくなるの。



吸い込まれそうになる綺麗な瞳の奥。



口元は笑っているけど、いつも本当の心は見せてくれない。



すぐに視線を逸らして、窓の外に目をやる。



「…ひどいね。もも、いつからそんな子になったの?」



「も、もともと…だもん」