「これはきっと信じていただけないでしょうけど、私、大和が意識を取り戻す前の日の夜に『大和くんには、あなたにはまだやることがあるでしょって言って、そちらに帰ってもらったから。だから、大和くんのこと、よろしくね。』って、言う佐倉さんの声を聞いたんです。」
「えっ?」
「そして確かに大和は帰って来た。でも・・・意地悪ですよね。佐倉さんがじゃなくて、神様が。本当につくづくそう思います。だけど、もともと大和を手放したのは私の方、そんな簡単に取り戻せるなんて思うなって、神様はそう言ってるんだと思います。先はきっと長いんだと思います。私のことを思い出してくれる保証もないし、思い出してくれたとしても、私を受け入れてくれるとも限らない。でも、私は大和の側にいたいんです。彼を支えてあげたいんです。」
「七瀬・・・。」
「圭吾さん。私は今、生まれて初めて大和の幼なじみじゃなくなったんです。」
その言葉に、ハッとしたように圭吾は七瀬を見た。
「大袈裟じゃなく、私たちは生まれてからずっと一緒にいた。私たちの間柄はあまりにも近くて、近過ぎて・・・だから大和にとって私は、一緒にいるのが当たり前の、親きょうだいと同じで空気のような存在、そうとしか思ってもらえなかった。でも・・・そんな関係は一回リセットされたんです。だから、今度こそ、絶対に大和を私に惚れさせて見せます。」
そう言い切って七瀬は、最後に笑顔を浮かべた。その表情に思わず見入ってしまった圭吾だったが、我に返ると
「お前の気持ちはよくわかった。七瀬・・・これまで俺のわがままに付き合わせて悪かった。許してくれ・・・。」
そう言って、頭を下げた圭吾に対して
「いえ、私こそ、あなたに見初めていただいて、バディになれとまで言っていただいて・・・光栄でした。そして正直、嬉しかったです。そうなろう、そうなりたいと一度も思わなかったと言えば、それは間違いなくウソです。でも今にして思うと、私にはやっぱり荷が重かったと思います。どうか、愛奈さんとお幸せに、そしておふたりで素晴らしい企業を作り上げてください。お世話になりました。」
答えた七瀬は、深々と彼に頭を下げ返した。そして、彼女が頭を上げると
「これは本当は絶対に口にすべきことじゃないのはわかってる・・・だが、俺は今でも、愛奈より七瀬の方が好きなのかもしれない。」
圭吾がそんなことを言い出す。
「圭吾さん、そんなこと言っちゃダメです!」
慌てたように、怒ったように言う七瀬に
「まぁ最後まで聞けよ。でも俺は、本当に自分を必要としている人、愛してくれている人と共に生きることを選んだ。そのことに後悔はない。そして、そのことの尊さを俺に気付かせてくれたのは、結局七瀬、お前だったんだよ。」
「圭吾さん・・・。」
「だから俺はお前を諦めた。そして、本当に好きな人を追い求め続けようとしているお前を心から応援して行こうと決めたんだ。だから、貫いてくれよ、絶対に。」
そう言って、優しい目で自分を見る圭吾に
「ありがとう、ございます・・・。」
そう答えた七瀬の目から、涙が零れた。
「えっ?」
「そして確かに大和は帰って来た。でも・・・意地悪ですよね。佐倉さんがじゃなくて、神様が。本当につくづくそう思います。だけど、もともと大和を手放したのは私の方、そんな簡単に取り戻せるなんて思うなって、神様はそう言ってるんだと思います。先はきっと長いんだと思います。私のことを思い出してくれる保証もないし、思い出してくれたとしても、私を受け入れてくれるとも限らない。でも、私は大和の側にいたいんです。彼を支えてあげたいんです。」
「七瀬・・・。」
「圭吾さん。私は今、生まれて初めて大和の幼なじみじゃなくなったんです。」
その言葉に、ハッとしたように圭吾は七瀬を見た。
「大袈裟じゃなく、私たちは生まれてからずっと一緒にいた。私たちの間柄はあまりにも近くて、近過ぎて・・・だから大和にとって私は、一緒にいるのが当たり前の、親きょうだいと同じで空気のような存在、そうとしか思ってもらえなかった。でも・・・そんな関係は一回リセットされたんです。だから、今度こそ、絶対に大和を私に惚れさせて見せます。」
そう言い切って七瀬は、最後に笑顔を浮かべた。その表情に思わず見入ってしまった圭吾だったが、我に返ると
「お前の気持ちはよくわかった。七瀬・・・これまで俺のわがままに付き合わせて悪かった。許してくれ・・・。」
そう言って、頭を下げた圭吾に対して
「いえ、私こそ、あなたに見初めていただいて、バディになれとまで言っていただいて・・・光栄でした。そして正直、嬉しかったです。そうなろう、そうなりたいと一度も思わなかったと言えば、それは間違いなくウソです。でも今にして思うと、私にはやっぱり荷が重かったと思います。どうか、愛奈さんとお幸せに、そしておふたりで素晴らしい企業を作り上げてください。お世話になりました。」
答えた七瀬は、深々と彼に頭を下げ返した。そして、彼女が頭を上げると
「これは本当は絶対に口にすべきことじゃないのはわかってる・・・だが、俺は今でも、愛奈より七瀬の方が好きなのかもしれない。」
圭吾がそんなことを言い出す。
「圭吾さん、そんなこと言っちゃダメです!」
慌てたように、怒ったように言う七瀬に
「まぁ最後まで聞けよ。でも俺は、本当に自分を必要としている人、愛してくれている人と共に生きることを選んだ。そのことに後悔はない。そして、そのことの尊さを俺に気付かせてくれたのは、結局七瀬、お前だったんだよ。」
「圭吾さん・・・。」
「だから俺はお前を諦めた。そして、本当に好きな人を追い求め続けようとしているお前を心から応援して行こうと決めたんだ。だから、貫いてくれよ、絶対に。」
そう言って、優しい目で自分を見る圭吾に
「ありがとう、ございます・・・。」
そう答えた七瀬の目から、涙が零れた。