「大丈夫だよ、おふたりなら。絶対に。」


それに対して、七瀬は言葉短かに言い切った。


「七瀬・・・。」


「私たちは、おふたりを信じて、お待ちするだけだよ。」


その自信に溢れた態度に


「そう、だよね。」


思わず頷いた奈穂は、心が落ち着くのを感じていた。


それからは、仕事の話を離れ、楽しくおしゃべりと食事を楽しんだ2人。食後のコーヒ-まで辿り着いたところで


「菜穂はこのあと、おふたりを迎えに行くの?」


七瀬が尋ねる。


「まさか、このまま帰るよ。」


「えっ、そうなの?」


「当たり前だよ。迎えになんか行ったら、お姉ちゃんに怒られる。」


真面目な顔で、奈穂は答える。


「そっか、そうだよね・・・。」


その答えを聞いて、ポツンと呟くように言った七瀬は窓の外に視線を移す。そんな彼女を奈穂は少し見ていたが


「綺麗だね、外のイルミネ-ション。」


と言い出す。いつの間にか季節は移ろい11月も、はや半分以上が過ぎようとしていた。窓から見える駐車場の木々には、この時期らしいライトアップが施されていた。


「そうだね、もうそんな時期か・・・。」


奈穂の言葉に応えて、七瀬の口からそんな言葉が漏れた。迫り来る恋人たちの季節に向けて、街も人も徐々に盛り上がって来ていることが感じられる。相変わらず窓の外を見つめていた七瀬だったが


「七瀬。」


呼び掛けられて、前の奈穂に視線を戻す。


「少し気の早い話なんだけどさ、七瀬はイブは誰と過ごすの?」


「えっ?」


突然の問いに、七瀬が戸惑っている。クリスマスを誰を過ごそうか、なんてことを考えたことがあっただろうか?幼い頃は当然家族と、中・高生になると大和と出掛けたりしたが、それも幼なじみとして、なんとなく自然にそうなっていた。それもなくなった後は、女子会にでも誘われない限りは、ずっとひとりだった。


「氷室さんと何の話もしてないの?」


すると、奈穂が更に問い掛けて来る。


「う、うん・・・。」


「どうして?だって、あなたたち、付き合ってるんでしょ?」


「・・・。」


畳み込むような奈穂の問いに、七瀬は答えに詰まる。