「そうそう。だいたい恐らくだけど、社長は理子を専務の花嫁候補として秘書に送り込んだんだと思うよ。でもジュニアはあの子に手を出すそぶりもなく、澤崎さんに紹介しちゃったからね。」
「まぁ理子の方も『お仕えする上司と恋仲になるなんて、秘書としてあってはならないことです』って言ってたからね。それ聞いた時は、この子凄いなと思ったよ。」
「と言うか、変わってるなって思った。」
別のひとりの言葉に、テーブルは笑いに包まれる。
「でもさ、専務は今日も張り切って立会人代表やってるけど、ご自分のことはどうするんだろう?」
「そうだよね。澤崎さんと同期ということはジュニアも30歳だよ、それなりにいい齢だよね。」
話題が氷室のことに移ったところで
「七瀬。」
と呼び掛けられた。
「は、はい。」
話に加わらずに、ひとり黙々とフォークとナイフを動かしていた七瀬が慌てて返事をすると
「正直に答えて。あなた、専務から口説かれてないの?」
「はぁ?」
突拍子のないことを聞かれて、七瀬は唖然とする。
「だってさ。専務、明らかに理子さんより七瀬のこと、外に連れ歩いてるし、食事にも誘ってるからさ。いよいよその気になったのかもと思ってたんだけど・・・。」
(それは私に求められているものが、城之内さんとは違うから・・・。)
七瀬は思うが、それを口外するのは憚られ
「外出は仕事関係だけですし、確かにお食事は何度かご一緒しましたけど、ほとんど仕事の話ばかりしてました。」
と答えた七瀬に
「そうなんだぁ。」
ため息をつく一同。
(えっ?なに、この雰囲気・・・。)
七瀬がきょとんとしていると
「だって専務って、これまで本当に浮いた噂がほとんどないんだよ。」
ひとりが呆れたように言い出すから
「はぁ・・・。」
なんと答えていいのかわからずに七瀬は思わず、間の抜けた声を出してしまっていた。
「世間でよく聞く、どこぞの御令嬢とのお見合いなんて話もなく。」
「もちろん私たちの誰一人、相手にもされず。」
「専務も来月からはいよいよ副社長になるんだし、立場から言っても、30歳って年齢から言っても、そろそろパートナ-を娶らないと、世間体的にもいかがなものなのかなって、ちょっと心配になって来るよね。」
「そうそう。」
などと言い出す先輩たち。
「まぁ理子の方も『お仕えする上司と恋仲になるなんて、秘書としてあってはならないことです』って言ってたからね。それ聞いた時は、この子凄いなと思ったよ。」
「と言うか、変わってるなって思った。」
別のひとりの言葉に、テーブルは笑いに包まれる。
「でもさ、専務は今日も張り切って立会人代表やってるけど、ご自分のことはどうするんだろう?」
「そうだよね。澤崎さんと同期ということはジュニアも30歳だよ、それなりにいい齢だよね。」
話題が氷室のことに移ったところで
「七瀬。」
と呼び掛けられた。
「は、はい。」
話に加わらずに、ひとり黙々とフォークとナイフを動かしていた七瀬が慌てて返事をすると
「正直に答えて。あなた、専務から口説かれてないの?」
「はぁ?」
突拍子のないことを聞かれて、七瀬は唖然とする。
「だってさ。専務、明らかに理子さんより七瀬のこと、外に連れ歩いてるし、食事にも誘ってるからさ。いよいよその気になったのかもと思ってたんだけど・・・。」
(それは私に求められているものが、城之内さんとは違うから・・・。)
七瀬は思うが、それを口外するのは憚られ
「外出は仕事関係だけですし、確かにお食事は何度かご一緒しましたけど、ほとんど仕事の話ばかりしてました。」
と答えた七瀬に
「そうなんだぁ。」
ため息をつく一同。
(えっ?なに、この雰囲気・・・。)
七瀬がきょとんとしていると
「だって専務って、これまで本当に浮いた噂がほとんどないんだよ。」
ひとりが呆れたように言い出すから
「はぁ・・・。」
なんと答えていいのかわからずに七瀬は思わず、間の抜けた声を出してしまっていた。
「世間でよく聞く、どこぞの御令嬢とのお見合いなんて話もなく。」
「もちろん私たちの誰一人、相手にもされず。」
「専務も来月からはいよいよ副社長になるんだし、立場から言っても、30歳って年齢から言っても、そろそろパートナ-を娶らないと、世間体的にもいかがなものなのかなって、ちょっと心配になって来るよね。」
「そうそう。」
などと言い出す先輩たち。