2人とも無言で数十メートル歩いた後、少し角を曲がり人通りの少ない道に入って立ち止まる。
「ごめん、大丈夫?
勝手なことしちゃったかな」部長が肩から手を放し、遠慮がちにこちらを見る。
気遣ってくれているのがよくわかる。
「いえ、大丈夫です。
ありがとうございました。
ちょっとびっくりしただけです。」
その後、気分転換にと、少し早めの晩ご飯に誘われた。
このまま帰って一人になるのもイヤだし、
私も悟のことをきちんと部長に説明しておきたい気持ちが強く、部長について歩いた。
部長の家の近く、夕方早くから開いているお店があるからと、一緒に向かった。
こじんまりとした和食屋さんのカウンターに2人で並んで座る。
「仕事帰りに1人で寄るんだ。
炊き立てのご飯に、お味噌汁、肉じゃがとだし巻き卵が好きでね。」
お店の中にただようお出汁の香りに納得する。
人の手によって飴色に馴染んだ木目のテーブル、椅子、建具など一つ一つが私を優しく包んでくれる。
部長の人柄のようなお店で、あたたかい。
出されたあたたかい緑茶を一口飲むと、ようやく落ち着いた。
早い時間ながらも、店内はそれなりににぎやかだから、2人の話す内容は聞こえないだろう。
部長が気を使って、料理の話をしてくれるのに、
元カレのことが頭から離れなくて、返事が上の空になってしまった。
「今も好きなの?」
「え!?」
「さっきの彼は、たぶん、元カレだよね。」
「はい、
でも、もう好きではないです。
別れて3年以上経ちましたし、そりゃ、あの時はいろいろとショックでしたけど。
もう無理だったんです。」
手にしたビールをごくりと飲む。
酔えば、少しは話せるかもしれない。
横を見ると優しく頷いてくれる部長がいる。
安心して、ぽつりぽつりと、悟との出会いから別れるに至った話をする。
「ごめん、大丈夫?
勝手なことしちゃったかな」部長が肩から手を放し、遠慮がちにこちらを見る。
気遣ってくれているのがよくわかる。
「いえ、大丈夫です。
ありがとうございました。
ちょっとびっくりしただけです。」
その後、気分転換にと、少し早めの晩ご飯に誘われた。
このまま帰って一人になるのもイヤだし、
私も悟のことをきちんと部長に説明しておきたい気持ちが強く、部長について歩いた。
部長の家の近く、夕方早くから開いているお店があるからと、一緒に向かった。
こじんまりとした和食屋さんのカウンターに2人で並んで座る。
「仕事帰りに1人で寄るんだ。
炊き立てのご飯に、お味噌汁、肉じゃがとだし巻き卵が好きでね。」
お店の中にただようお出汁の香りに納得する。
人の手によって飴色に馴染んだ木目のテーブル、椅子、建具など一つ一つが私を優しく包んでくれる。
部長の人柄のようなお店で、あたたかい。
出されたあたたかい緑茶を一口飲むと、ようやく落ち着いた。
早い時間ながらも、店内はそれなりににぎやかだから、2人の話す内容は聞こえないだろう。
部長が気を使って、料理の話をしてくれるのに、
元カレのことが頭から離れなくて、返事が上の空になってしまった。
「今も好きなの?」
「え!?」
「さっきの彼は、たぶん、元カレだよね。」
「はい、
でも、もう好きではないです。
別れて3年以上経ちましたし、そりゃ、あの時はいろいろとショックでしたけど。
もう無理だったんです。」
手にしたビールをごくりと飲む。
酔えば、少しは話せるかもしれない。
横を見ると優しく頷いてくれる部長がいる。
安心して、ぽつりぽつりと、悟との出会いから別れるに至った話をする。
