電話を切って10分後…
紫月から迎えが着いたとの連絡が来た。
え、さすがに早すぎない?紫月の指示なんだろうけど、紫月じゃない私のために、なんだか申し訳ない。
何回か乗ったことのある車だったから、すぐに見つけて乗り込んだ。
「…夜分遅くにすいません、よろしくお願いします。」
「いえ、お気になさらず。紫月様のご指示ですので。」
40半ばくらいの優しい表情のおっとりとした男性は、そう言いながら微笑んだ。
ゆっくりと走り出した車は、紫月の部屋があるビルへ向かった。
外を眺めながらぼーっとしていると、
「…初めてなんですよ。」
「…え?」
「紫月様が、女性の方の送迎を頼んだのは。」
「あっ…そう、なんですか。」
