「無駄な心配はしなくていーの。翠には俺がいるから。」
「…なにそれっ」
またこういうことを言う。
素直に喜べない私は、また下を向いた。
無責任だとも思ってしまう、それでも救われるような、そんな言葉を、この人は簡単に言う。
この優しさの受け取り方がわからない私は、また強がったふりをして逃げてしまう。
きっと誰にでもこんなことを言ってるし、この優しさは私だけに向けられたものじゃない。
さっきまで感じていたドキドキも、今では虚しく冷めた感情に変わりつつあって、また現実に戻された。いつもの日常に戻る、そこに紫月はいない。
期待なんてしちゃいけない……そう言い聞かせながら、エレベーターを降りた。
