「あれ、今日は荷物少ないじゃん。」
19時。紫月が迎えにきた車に乗った。
「あ……うん。あんまり準備する時間なくて。」
「全然時間遅らせたのに。」
そう言って私に優しく微笑む紫月。
こんな些細な一言でさえも優しさを感じてしまって、胸が苦しくなる。
すると紫月のスマホが鳴って、紫月が電話に出た。
また仕事の電話かな……。
「なに。………ああ。いま翠といるんだけど。」
紫月は仕事の電話を無視することはない。
でも出る時は、私を1人にしないためか、必ず手を握ってくれる。
「………ったく、わかったよ。……ああ、あとでな。」
電話を切って大きくため息をついた紫月は、
