「……なんで……。」
「なんでって、勝手にいなくなったのは翠でしょ?」
怖いくらいにずっと笑顔の彪雅に吐き気がしてくる。
この一年半……地元の人間とも縁を切って1人で暮らしていた。
せっかく、ここまでやってきたのに………。
彪雅は別れたときよりも雰囲気がまるで違かった。
ピアスも開けて髪も金色のメッシュになっていて、一目でガラが悪いと思った。
「……もう彪雅とは、別れてるから。」
「だから、……俺は認めてないって。」
笑顔が消えて、闇に染まったような瞳を見た瞬間に、あの頃のことがフラッシュバックしてきた。
早く、早くマンションに入らなきゃ……。
手が震え出して、閉まってしまったエントランスを開けようと背を向けた。
するとすぐさま腕を掴まれて、
「俺のところに戻ってきて。」
戻るわけない……。やっと、自分を認めることができてきたんだから。
