「僕が飼っているペットが役に立つと思うんだ」
「ペットがどう役に立つのですか?」
「ああ、見た目がゴツくて魔物みたいな奴なんだけど、誤解を受けるからこっそりと飼育しているんだ。これをうまく使ってジルベルトが活躍すれば、報奨としてイライザとの結婚を希望できるだろう」

 見た目がゴツくて魔物みたいなペット……そんなのを飼っているなんて、さすが王族だ。確かに、バハムートの時にえらい騒ぎになったから、こっそりと飼うのはよくわかる。

「……なるほど。ですが小手先の三文芝居では父に通用しませんわ」
「それならペットとは主従契約を結んでいるから、僕が命令すれば本気で攻撃する。だがジルベルトなら、これくらい対処できるだろう?」
「当然ですわ。ではわたくしがラティシア様の判定試験のためと言って、ジルとお父様を連れて王城へまいります。緊迫感を出すために、わたくしもこれ以上の詳細を聞かない方がよろしいですね」

 見目麗しいふたりが、ドス黒い笑顔で次々と計画を練っている。私は邪魔しないように、お高い茶葉を使った紅茶をすすっていた。

「うん、楽しみにしていて」
「ふふふ、存分に暴れさせてくださいませ。古竜さえ単独で倒すジルならば必ず制圧しますわ」