「よし、イライザ。茶会を開いてくれ」
「規模は?」
「貴婦人たちをできるだけ集めてほしい。あと、君は悪者になるけどかまわないよね?」
「承知しました。悪者など……悪女のわたくしに対して、かわいいことをおっしゃるのですね」

 ふたりの間でどんどん話が進んでいくが、その速さに課題をクリアするはずの私自身がついていけない。これはさすがによくない気がする。

「あの! 待ってください! これはズルではないのですか!?」

 今のところ私の関与はゼロだ。課題をこなすと決めたのだから、すべての準備を整えてもらうのは違うと思う。

「あのね、ラティ。課題をこなすのに協力を得てはいけないというルールはないんだ」
「そうですわ。つまりフィルレス殿下もわたくしも、ラティシア様の味方ということです」
「そのルールはありなのですか?」

 その考え方でいくと、課題は自分でこなさなくてもいいということ?

「もちろん。そもそもどんな課題が来るかわからないのに、ひとりでこなせなんて無茶な話だと思わない?」
「確かに……」
「そうだよね。それに僕はラティに苦労をしてほしくない」
「この判定試験は王太子夫婦となる、おふたりの絆の深さを見るためのものでもありますの。これから国を担っていくのですから、互いに支え合うことが必須ですわ」
「なるほど……!」