数日後、上等なドレスに着替えて、憎たらしいラティシアへ会うために王城にやってきた。これでも義理とはいえ姉妹なのだから、約束はなくとも面会はできるだろうと思っていた。

「申し訳ございませんが、ラティシア様に関してましてはお約束がないと面会ができません」
「どうして!? わたしがカールセン伯爵夫人だって、調べればすぐわかるでしょう!?」
「確かにカールセン伯爵夫人様と確認は取れましたが、ラティシア様との面会はフィルレス殿下の許可が必要です」
「はあ? なぜ、フィルレス殿下の許可が……?」

 わたしは王城に入ることさえ叶わず、門番に足止めされていた。いくら王太子の婚約者だといっても、家族への面会くらいはできるだろう。そうでなければあまりにも非人道的だ。

「ラティシア様はフィルレス殿下の専属治癒士でもありますので、殿下の許可が必要なのです。面会されたくばラティシア様かフィルレス殿下とお約束ください」
「専属治癒士? あの女が専属治癒士になったというの!?」

 わたしの叫びに門番が眉をひそめる。
 専属治癒士なんて、よほどの才能がなければなれない職業だ。確かに死んだ義父も義兄たちも専属治癒士だったけれど、まさかラティシアまで抜擢されるなんて思っていなかった。