「で、で、で、殿下!! それはいくらなんでもやりすぎです!!!!」
「これは僕の体調を管理するための業務命令だよ?」
「業務命令の前にもっと大事な話がありますよね!?!?」
「……ラティ、僕と君は婚約者なんだから、僕のことはフィルと呼んで」

 私の話をまるっと無視して、さらに愛称で呼ばれたし、愛称呼びも強要してきた!?
 本気で待ってほしい、今朝までただの治癒士だったのに、どう考えても王太子の婚約者なんてやれるわけがない。

「いや——!! ムリっ! ムリムリムリムリですっ!!!! 今すぐ婚約解消してください!!!!」
「わかった、では今日からひとつのベッドで同衾して……」
「わー!! わかりました! フィ、フィル様!! お願いだからせめてベッドは別にしてくださいませ!!」
「そんな風にかわいくお願いされたら仕方ないな。ベッドは結婚式を挙げるまで別にしよう」

 いや、かわいくお願いとかしてないし、本当にまったく意味わかんないわ!!
 この腹黒王太子——!!!!