「大丈夫、僕が不安に駆られる前にちゃんと好きとか愛してるとか言ってくれれば大丈夫だから」
「わ、わかりました……でも、どうして、その、フィル様は好きとか言ってくれなかったのですか?」

 私は思い切って聞いてみた。ずっと気になっていたのだ。あれだけ私に愛情を示してくれていたのに、言葉で伝えられたのは今日が初めてだ。

「ああ、それはね。最初から好きだとか愛しているとか言っても、信じてもらえないと思ったからだよ」
「どうして私が信じないと思ったのですか?」
「ラティの過去を知った時に、状況からすると男性不信になっているのではないかと思ったんだ。でも、どうしても好きになってほしかったから、まずは態度で示して信頼を得てから言葉で伝えるつもりだったんだ」
「な、なるほど……」

 もしかしたらフィル様は、私よりも私を理解しているかもしれない。確かにあの頃好きだとか言われていたとしても、絶対にスルーしていた。
 間違いなく、こんなに軽く好きとか愛してるとか言う男は信用ならないと、切り捨てていただろう。口ではなく態度で示してくれないと、信じられなかった。