この強引さに顔が引きつる。こういったところまで似ているとは、さすが兄妹だ。だけど嫌なものは嫌だ。私はフィル様の隣にいると決めたのだ。ルノルマン公爵の判定結果が不合格だったとしても、再試験を希望するつもりでいる。
 合格できるまであきらめないと、決心したのだ。

「ですが、私はフィルレス殿下の婚約者なのです! いくら皇太子殿下といえど、それは受け入れられません!」
「いいから、オレについてこい!」

 そのまま腕を引かれて、皇太子が乗ってきた馬車に無理やり乗せられた。皇太子の腕力には敵わないし、イライザ様もアリステル公爵の使用人たちも相手が皇太子では迂闊に手を出せない。
 もし王命で婚約解消されるのなら、その時は全力で抗うと心に決めた。