「さて、それではどうやって帰ってもらおうか。戦争した方が早いけれど、そうなるとラティが嫌がるんだよね」
「確かにラティシア様は心優しいお方ですから、平和的解決を望むでしょうね」
「うーん、仕方ない。この国が危ないと思わせて、送り返そうか」

 魔力量だけで選んだのなら、他に大きな問題を作り上げて他国の方がマシと思わせればいい。ただでさえ帝国は傍若無人な振る舞いが多く、敬遠している国も少なくない。周辺国には事前に根回ししておけば、皇女の婚約破棄の件もあるし理解を示してもらえるだろう。

「どのように進めますか?」
「バハムートとフェンリルの出番かな。魔物が頻繁に暴れる国だと思わせればいい」
「承知しました。ですが、神竜様と神獣様は納得されるでしょうか?」
「ああ、躾はちゃんとできているから問題ないよ。それよりも貴族たちの口止めが先だね。手紙を用意するから秘密裏に届けてくれ」
「御意」