「お前たちの処分は国王陛下より任されている」

 僕の冷め切った声に、顔色を失くしたマクシスは立っているのもやっとのようだ。ビオレッタはヘナヘナと力が抜けて座り込んだ。

 この程度でなにを放心しているのか。本格的な処罰はこれからだというのに。もう少し根性を見せてもらわないとつまらないなと思い、ネタバラシをすることにした。

「ああ、ちなみに。マクシスが投資した新薬の開発は、国として支援が決まった。今後の研究資金を保証すると言ったら喜んで利権を渡してくれたよ」
「は……? そんな、私が出資した分はどうなるのだ!?」
「出資? 彼は誰からも出資してもらってないよ。ああ、寄付はしてもらったと言っていたかな。アイザック」

 アイザックに声をかけると、白衣を着た青年を連れてくる。ボサボサの灰茶色の髪に黄緑色の瞳、痩せた身体はなんとも頼りなくおどおどしながら、僕のもとへやってきた。

「こちらが研究者のジョアン・クロスリーだ」
「違う……違うぞ! この男は誰だ!? 私が書類を交わしたのは、青い髪の男だ!」