「マクシス様、本当にそんな大金が入ってくるのですか?」

 カールセンの領地にある屋敷で、私はこれから入ってくる大金を期待してワクワクとした気持ちで浮かれていた。
 今日は天気もよく、すこぶる気分がいいのでジャニスに付き合い庭に散歩に出ている。

「間違いない。確実な投資話なんだ。ちゃんと裏も取ったし、カールセン家は当面安泰だ」
「本当!? 嬉しい! そうしたら、ずっと一緒にいられますか?」

 愛人のジャニスはビオレッタと違って、私の心をくすぐることを言う。投資で得た金が入れば、それを元手にさらに投資をして資産を増やしていける。今後のことも考えて、王都に移っておいた方がいいかもしれない。

「ああ、もちろんだ。その時は離れを建てるから王都へ移ろう。王都の方が仕事がしやすいし、こちらはお前の父親に管理させればいい」
「それなら新しいドレスを仕立てないと! 王都へ行くのなら最新のドレスを着たいわ」
「なにを着てもジャニスなら似合うさ。好きなドレスを買うといい」

 ところがそんな穏やかな時間に「マクシス様!」と呼ぶ声が水を差した。