放たれた魔法は最上級クラスの雷属性の魔法だった。
 まるで神の鉄槌が下ったような一撃がゴーレムに直撃し、その動きを止める。ゴーレムは身体中から煙を上げ、壊れたおもちゃのようにぴくりとも反応しなかった。

「ふーん、古代(エンシェント)ゴーレムか。なるほど、竜殺しの古代兵器ではバハムートと相性がよくなかったね」

 フィル様は氷のような微笑みを浮かべ、ゴーレムを一瞥した後、そっと私の両頬を包み込んで心配そうに覗き込んできた。突然の美形のドアップに心臓が跳ねる。

「ラティ。大丈夫? どこも怪我してない?」
「だ、大丈夫です! でも、助けてくれてありがとうございます」
「……ラティが僕に心からのお礼をするなんて……ふふっ、頑張って駆けつけた甲斐があったな」

 うっとりとした顔で微笑まれ、バクバクと脈打つ心臓が壊れそうだ。この生体反応は、危険な目にあったからに違いないと思うことにした。

「で、では、すぐにみなさんを治療しますね!」
「うわ、照れてるラティがかわいすぎる」

 いたたまれないのと、倒れているバハムートやフェンリル、騎士たちを治療しなければならないのとで、そそくさと自分の役目に専念した。