「バハムート、私をあの魔物の口元へ運んで! タイミングを見て放り込むから!」
《それはできぬ。ラティシアを危険に晒せない》
「このままでは、仲間が死ぬのを待つだけよ。絶対に誰も死なせたくないの!」
《……わかった。では少々荒くなるが耐えるのだぞ》
「もちろんよ!」

 バハムートは長い首を曲げて、ドラゴンブレスを吐き出した。防御が甘くなって光線が私の真横を抜けていくが、バハムートへの治癒魔法を止めなかった。
 次の瞬間にはバハムートが大きく羽ばたいて、一旦上空へ飛び立つ。

《覚悟はよいか?》
「当然よ。いつでもいいわ」

 そしてゴーレムの光線を避けながら、真っ直ぐに急降下していく。光線が止んだタイミングを狙い、薬草の束をゴーレムの口へ放り込んだ。

 だけど、一瞬動きが止まっただけで、またすぐに光線を放たれ空へと飛び上がっていたバハムートの翼を撃ち抜いた。

《ぐぁっ……!》
「バハムート!!」