グレイは今年の春に学園を卒業したばかりで、さすがに領地経営までは任せられない。
 だから今は領地経営の勉強を進めてもらって、ゆくゆくはわたしの夫にするつもりだった。

 わたしだって、優しく甘やかしてくれる夫の方がいいのだ。ましてやグレイは、傾国の美青年だ。そばにおいておくだけでも価値がある。

「では——」

 申し訳なさそうに、要望を伝えるグレイがかわいらしい。わたしはグレイのために援助を惜しまなかった。
 カールセン家の運営はマクシス様に任せてあるし、いざという時はナダリー公爵家が助けてくれるからなにも問題ない。

 わたしは傾国の美青年に深く深く溺れていた。