後悔の念を振り払い領地へ戻って、いつもの生活に戻った。しかし最近は特に領地経営がうまくいかない。

 先代まではカールセン家の治癒魔法を使って、領地の魔物を討伐したり、鉱山から魔石を採掘して運営していたが、以前と比べると明らかに規模が縮小していた。

 治癒魔法が使える一族がいなくなったからといって、こうも魔石採掘の効率が落ちるとは考えにくい。
 理由はわからないが、採掘量が減ったことで領地の収入が減り年々経営が苦しくなっていた。

「マクシス様、今日のお手紙が届きました」

 そう言って部屋にやってきたのは、僕の愛人であるジャニスだ。神秘的な黒髪が美しい娘で、いつも私に優しい言葉をかけてくれる。
 手紙を受け取り、その中に目当てのものを見つけて急いで封を開けた。

「くそっ……また融資を断られた……!」
「まあ……マクシス様はこんなに懸命に役目をこなされているのに……」
「ああ、これで五社目だ。いったいどうなっている!?」

 届いたばかりの手紙をグシャリと握りつぶした。
 経営難を乗り切るために融資を受けようにも、どこへ頼んでも断られてしまう。王都から戻ってきてから、どこからも融資を受けられなくなってしまった。