ジルベルトがイライザをうまくコントロールして、落ち着かせていく。イライザは何度か深呼吸して、以前の公爵令嬢としての顔を取り戻した。

「でも、さすがフィルレス殿下の計画ですわね、結局のところ思い通りに運びましたわ」
「僕が貴族の内情を把握していないわけがないだろう?」
「こんな腹黒王太子様に捕まってラティシア様が不憫ですね」

 すっかりラティのファンになったイライザは、僕よりもラティの方へ肩入れしている。今日だってラティがいないと伝えたら、別の日にしたいと言ってきたくらいだ。裏話をするなら今日しかないと言って約束させた。

「そうかもね、でも誰よりもラティを幸せにする自信はあるよ?」
「まあ……あの溺愛っぷりを見ればわかりますけれど。あのお茶会の時も本気でございましたでしょう?」
「あの時は俺も肝を冷やしました。本当に止めに入る寸前でした。あのような状況はもう勘弁願いたいです」

 あれは……イライザの演技に拍車がかかって、思わず本気で止めに入ってしまったんだ。そもそも、あそこまで言わなくても、もっとサラッと嫌味を言うくらいでよかったのに。