ラティの活躍により、イライザとジルベルトの結婚も許され、なんならずっと拗れていたアリステル公爵との親子関係も改善したようだ。
 うまくいくように手を貸すつもりだったけれど、まったく僕の出番などなかった。予想以上のラティの働きには、目を見張るものがある。

「さすが僕のラティだよ」
「ははは……ソウデスネ。そういえば、あのバ……ドラゴンは大丈夫なのですか?」
「ああ、そうなんだ。みんな騒がせて本当に申し訳ないけれど、あれは魔物ではなく僕と主従契約したバハムートなんだ。なぜかわからないけれど、暴走したようだ。来るのが遅くなってすまない」

 あらかじめ用意しておいた言い訳を、眉尻を下げて話せば誰もが僕の言葉を信じる。真っ先に反応したのはアリステル公爵だ。

「なっ! バハムートと契約ですと!? それではこのドラゴ、いえ、バハムートは神竜ではないですか!!」
「うん、そういうことになるね」
「え? 神竜……? え? どういうことですか?」

 僕の思惑どおり、神竜という単語を引き出せた。アリステル公爵の言動は本当に予測しやすい。ラティは意味がわからないようで困惑している。

「ほら、僕たち王族は太陽の創世神の末裔だろう? その僕と幻獣バハムートが主従契約を結ぶと、神の使徒になり幻獣から神竜へと変化するんだよね」
「そんなこと、聞いたことない……!」