とても羨ましかったけれど、みんなが笑顔になってよかった。フィル様に視線を向けると、とても優しい眼差しで私を見つめている。少しだけドキッとした。

「ラティシア様、これもすべて貴女のおかげですわ!」

 瞳を潤ませたままのイライザ様が立ち上がり、白くて細い指で私の両手をそっと包み込む。

「わたくしは審判(ジャッジ)として宣言いたします。ラティシア・カールセン、貴女は合格ですわ!!」
「ああ、そうだな。我がアリステル公爵家はラティシア様を支持すると、ここに宣言しよう!!」

 そうだった。
 そうだった!! うっかりほのぼのしてたけれど、これは判定試験だった——!!

「……ああああ! 合格……! いえ、そうですよねぇ……そうですよねぇぇぇ」

 私はガックリと肩を落とした。

 確かにイライザ様の希望はすべて叶えたし、合格になるのは仕方ないとも言える。わかっていたのに、やると決めたのは私だから誰のせいでもない。
 しかもアリステル公爵様までなにかおかしなことを言い出して、まったく意味がわからない。私を支持しなくても全然大丈夫なんですが。むしろ、そっとしておいてほしいのですが。

「おめでとう、ラティ」

 フィル様がさっきからニコニコと満面の笑みを浮かべている理由が、よくわかった。太陽の下で輝く、神々しいほどの笑顔が憎たらしかった。