「私たち、もう終わりにしよう。」
空から大粒の雨が降り注ぐ中、私は冷え切った部屋で、そう呟いた。1人で練習をした後、大きなため息を零す。
指先に力が入る。
スマホを強く握りしめた後、見慣れたトーク画面が目に入る。
背景には、今の状態に似合わないあの頃の二人の影。
トークを見返せば、少しずつ変わっていった二人の関係が。溝が。よくわかった。

本当は、ずっと前から気付いていた。
私たちはもうずっと前から限界だった。
君との幸せな思い出はどれも遠い過去の話だ。
君の頑張っている姿が好きだった。
君の夢を追いかける姿勢が好きだった。
君の堂々とした立ち振る舞いが好きだった。
私の前では無邪気に笑う姿が好きだった。
子供のような好奇心旺盛なところが好きだった。

でも、いつからか、君は頑張ることを辞めてしまった。
周りの「あたりまえ」に呑まれて、
「自分」を信じなくなった。
「夢」を忘れてしまった。
それは確かに正しい選択なのかもしれない。
でも、私にはそんな君の姿を見るのが少し辛かった。
そんな君が私はどうしても許せなかった。