若旦那様の憂鬱

「では、今日はすいませんがこれで。」
花が頭を下げてそう言って、俺に行こうと小さく言ってくる。

花にしては、意思表示がハッキリしてる。

花が戸惑うようならすかさず中に入って守るつもりだったが…。

「では、失礼します。お疲れ様でした。」
俺も、そう言って頭を下げて花と共に駐車場に向かう。

「花、さっきはやけにハッキリしてたな?
どうした?」
気になり歩きながら聞いてみる。

「だって…前嶋さんきっとこのままだったらずっと先に進めないんだよ。
そんなの申し訳ないから…。
ごめんね。柊君も忙しいのに勝手に決めちゃって。」
不安そうに俺を見てくる。

「気にしなくていい。俺もあのままじゃ埒があかないから、遅かれ早かれ話すべきだって思ってた。」
そう伝えて花の頭を優しく撫ぜる。

「良かった…ありがとう。」
ホッとした表情を浮かべそう言う。

「早く家に帰ろう。」