本棚の中には、恋愛小説やファッション雑誌、絵本や海外の漫画など、様々なジャンルの本が揃えられている。

「あっ、これ……」

その中の一冊をリオンは手に取っていた。それは、本屋に立ち寄った時に興味を持って買ったものの、ほとんど読むことのなかったミステリー小説だ。

いつもは勉強ばかりで、本を読む時間すら惜しかった。だが、今は自然と手がページをめくっている。

(何だか、ここにいる間は自由にしていいような気がする……)

勉強のことで頭がいっぱいだったせいで、家で読んだ時は全く集中できなかった。だが今は、探偵が犯人を少しずつ追い詰めていく臨場感溢れる物語に心が踊らされている。

(こんなにも読書って楽しかったんだな……)

心が温かいもので満たされていく。気が付けば、リオンの頬は緩んでしまっていた。



そして、リオンは「癒し屋 Daisy」の常連になっていき、明るくどこか子どもっぽいベルに好意を抱いていくのはもう少し先のお話ーーー。