「わっ、私と、ですか?」
「そう。だって俺たち、付き合い始めたばっかりでしょ? もちろん、知り合ったばかりの男友達も大事だけど、ちょっとは、ふたりっきりにさせてくれよって感じじゃない?」
圭吾の言葉に恵奈は息を呑む。
彼は肘をついて恵奈のほうを見て笑顔を向けた。
朝、圭吾のことを名前で呼んだ時、付き合っているみたいだと恵奈は思った。
でも、付き合っているのだと彼から実際に言われ、ふんわりしていた感情が、はっきり、じわじわと恵奈の心に染み込んでくる。
(そうか。圭吾くんは、私の彼氏なんだ)
そう思ったら、なんだか気恥ずかしくて、恵奈はうつむいてしまう。
「恵奈ちゃん?」
「な、なんでもないです。ほらっ! 授業始まりますよっ!」
「え? でも先生はまだ……」
「いいからいいから!」
恵奈はそう押し通して、ぷいと反対側を向いた。
こんなに真っ赤になった顔は、圭吾にはとても見せられなかった。

